佐々きみ菜
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個展 うまれの祈り

うまれの祈り(mandara) / 糸,オーガンジー,フラワーペップ / ミシン刺繍 / 2017

うまれの祈り(wire mall) / モール / 2017

会期中に行った素材研究の様子

本展覧会に向けて行ったモールの素材研究1

素材研究2

 

うまれの祈り

大阪の東心斎橋にあるMU東心斎橋画廊にて個展を行った。

新しい手法や素材を積極的に取り入れた実験的な側面もある展示だったように思う。

原始感覚美術祭2014に訪れ「胎内回帰」というテーマがうまれ、その後「胎盤」「母体」「羊膜」「乳房」と胎内回帰シリーズが作られた。

2017年には公募作家として同美術祭を再訪し、初めてアーティスト・イン・レジデンスに参加した。

 

展覧会コンセプト概要

「長野県信濃大町を訪れて、山、水、大気、火、大地、そこに生きる動植物や虫、目に見えない存在を含めた多くの命に触れて、私自身が胎内回帰を経験した感覚になった。

命には様々なかたちがあり、うまれてくる・生きていくことには喜びと険しさがつまっている。

うまれることと、生きることに、胎内回帰したばかりの小さな私なりの祈りを捧げたい。」

2人展 胎内回帰

京都府京田辺市のTANADAピースギャラリー

 

うえのすみか作品

 

会場風景

 

うえのすみか作品

 

原風景「菜」 / ハードチュール,ポリロン / 2015

 

原風景「菜」 / ハードチュール,ポリロン / 2015

 

胎盤 / 綿糸,ウール / 2015

 

胎盤 / 綿糸,ウール / 2015

 

うえのすみか 佐々きみ菜 2人展「胎内回帰」

本展覧会にて初めて「胎内」をテーマに作品制作を行った。

2名の作家は会期中に20歳の誕生日をむかえる。

うえのすみかは自身が生まれた時と同じ重さの胎児と、

十月十日膨らんでいく母腹を石粉粘土にて制作。

佐々きみ菜は名前の由来となる菜の花を模した布造形と、

20歳の自分に適した大きさの胎盤をつづれ織りにて制作する。

六甲ミーツ・アート芸術散歩2021「はぐくみのみなもと」

六甲枝垂れ内部の様子

六甲ミーツ・アート芸術散歩2021「はぐくみのみなもと」

個展「冥護の抱擁」をきっかけに六甲ミーツ・アート芸術散歩2021の公募を知り、個展で展示した繊維と光から生まれる影についてより思考を深めたいと思い、応募することにした。

実際にいくつかの会場候補を見学する中で、建築家・三分一博志氏の自然体感展望台 六甲枝垂れの内部空間を訪れて、外部から内部に行くまでの通路を産道のように、ドーム状の半屋外となっている内部空間を胎内のように感じられた。

どうしてもこの場所に、私なりの「胎内を想起させる空間」を表現し、鑑賞者が生まれる前の状態に想いを馳せる体験ができるインスタレーションを作りたいと強く思った。

芸術祭を訪れた人が日常とは違った角度から自身を再認識できるきっかけになっていれば嬉しく思う。

 

「まんげつのそらにかえれ」ロングver.[17:18]

撮影・編集 Ayaco Mino

「まんげつのそらにかえれ」ショートver.[5:29]

撮影・編集 Ayaco Mino

パフォーマンス「まんげつのそらにかえれ」

自然体感展望台「六甲枝垂れ」において、ある満月の日の昼から夜にかけて4度行われたパフォーマンス「まんげつのそらにかえれ」の全パフォーマンス。 六甲の天候によって見え方が変化する、展示作品「はぐくみのみなもと」は、風に揺られながら水面に姿を映し、夜になればレース状の影を辺り一面にひろげる。 あんどさきこのコラの演奏と共に、一日かけて枝垂れの内部で小さないのちをはぐくみ、夜景の上に浮かぶ満月とその空へ旅立ついのちを見守る。 

出演:あんどさきこ
瀬戸内海志々島在住 うたう、泳ぐ、お月さまをみる、土をさわる おんがくやさんをしています
https://andsakiko.wixsite.com/mysite

SEIAN GRADUATE EXHIBITION 2020

SEIAN GRADUATE EXHIBITION 2020 “ FASHION / TEXTILE / COSTUME ”

成安造形大学には6つの学内ギャラリーがあり、ライトギャラリーは壁一面がガラスになっており自然光の変化を楽しむことができる空間になっている。

本展覧会は、同大学のファッションデザインコース、テキスタイルアートコース、コスチュームデザインコースの卒業生たちの作品が集った。

卒業年度は幅広く、在学中にはなかった交流がうまれ、成安造形大学の繊維造形の歴史の一部を垣間見ることができた。

今回はミシン刺繍の作品を中心に出品し、ギャラリーの白い空間に対して影の表情がよく見えるように設置を行った。

照明の関係で、繊維の赤色が多重の影にも影響し、複雑な模様を鑑賞することができた。

原始感覚美術祭2017 みのくちまつり

原始感覚美術祭2017−みのくちまつり

2014年に観客として訪れた原始感覚美術祭に、公募の若手枠で初めて参加する。長野県信濃大町の木崎湖畔に国内外よりアーティストが集い、滞在制作を行う。2017年より長期的な作品展示のスタイルから、3日間のお祭りスタイルに変化した。

西丸震哉記念館に滞在し、自転車で木崎湖を1周して海ノ口上諏訪神社の御神木であるスギの葉を毎日拾わせていただく。

線香の原材料にもなるスギの葉に透明度の高い赤い塗膜をつけ、炎を使ったパフォーマンスを行う。自分自身の身体を用いて表現を行う活動はここから始まった。

また、これより以前は繊維素材を購入し制作を行うばかりだったが、自然素材を収集し加工を行うことも初めてだった。

また、本芸術祭の企画であったピナ・バウシュバレエ団でソロダンサーを務めていたジャン・サスポータス氏の身体表現ワークショップを受講し、自分自身の身体を再発見・認識し、衝撃を受ける。

これらの出来事から〈素材研究〉〈インスタレーション〉〈コスチューム〉〈身体表現〉の領域を横断した作家活動を行うようになる。

原始感覚美術祭2020 山の清め、水の面

 

 

音楽家 あんどさきことのコラボパフォーマンス

撮影:安徳 希仁

原始感覚美術祭2020 山の清め、水の面

新型コロナウイルスの影響を受けて、各地の伝統的なお祭りや芸術祭が中止となる中、疫病退散をテーマに小規模で開催された。それぞれの作家の作品を飾りつけた山車を引き、木崎湖を1周した。

早朝の木崎湖は靄がかって幻想的な雰囲気を帯び、音楽家のあんどさきことコラボパフォーマンスをした場所には蓮の花が咲き誇っていた。

下見をした際には咲いておらず、偶然パフォーマンスを行った時間帯が開花時間だったと思われる。

様々な変化に迫られた社会とは別の次元に存在するかのように、いつも通り美しい湖と何も変わらず生きる植物の場をお借りして、

あんどさきこはピアノを弾くようなしぐさで空気や水に触れる。船を揺らす波の音と波紋が優しい声とともに静かに広がる。

赤く染色した漁網のコスチュームを羽衣のようにまとい、湖と一体化するような時間となった。

SEIAN COLLECTION 2016 「textile fashion show」

撮影:SHIGEKI TSUJI

 

SEIAN COLLECTION 2016

成安造形大学では学生主体のファッションショーが卒業制作展の時期に合わせて毎年開催されている。

会場は重要文化財である京都文化博物館 別館(旧日本銀行京都支店)で行われ、主にファッションデザインコース(現在はコスチュームデザインコース)の学生によって運営される。

佐々きみ菜はテキスタイルアートコースの所属だったが、インスタレーションとして空間に展示される素材と、衣装として身体に纏うことで動きが加わった素材の違いに着目し、見え方の違いについて研究を行った。

身に纏った白いワイヤーやカラフルな紙繊維のオーナメントに対して、物理的に動きが加わることで独特の揺れ感が現れたり、色彩が混ざったようにも見えることがある。

また、インスタレーションでは鑑賞者が動いて鑑賞するのに対し、ファッションショーではモデルが動くことにより鑑賞者はある一定の視点から作品を鑑賞することになる。

コスチューム作品を発表するようになったのはこのような学生ファッションショーからで、この経験によって身体・衣服・空間についての思考を深めていくようになる。

SEIAN COLLECTION 2017 「胎内回帰」

胎盤 / 綿糸,ウール / 2015

乳房 / モール / 2017

羊膜 / ポリエステル,ポリウレタン / 2017

撮影:SHIGEKI TSUJI

 

SEIAN COLLECTION 2017「胎内回帰」

成安造形大学では学生主体のファッションショーが卒業制作展の時期に合わせて毎年開催されている。

会場は重要文化財である京都文化博物館 別館(旧日本銀行京都支店)で行われ、主にファッションデザインコース(現在はコスチュームデザインコース)の学生によって運営される。

衣装制作はもちろん、舞台制作、広告物制作、構成、映像、音響、照明、メイク、モデルなど学生によって手がけられる。

2017年は胎内回帰シリーズから〈胎盤〉〈乳房〉〈羊膜〉3体のコスチュームと〈母体〉として「ははむすめ」を出品。

この頃は、素材研究に力を入れていたため、それぞれの素材でコスチューム制作を行っていた。

ははむすめ

ははむすめ / モール / 2017

 

ははむすめ

高さ約2mの土偶のようなシルエットをしたソフト・スカルプチュア。

2017年制作の「母体」をテーマにした作品。

モールを素材に用いて、背面と顔部分は平織りにて制作。

大きく前面に飛び出した母腹には人が1人入れるくらいのボリュームがある。

丹田にあたる位置には細長い筒状の穴があり、膣かあるいは反転した男性器のような形状が内蔵されている。

その周辺には血管のようにモールが広がっており、織り・編み・組みなど複数の手法を取り入れた作品。

モールは針金と化学繊維によって構成されており、自由な造形と形状維持が可能である。これを人体の骨と肉に見立てて、素材として使用した。