Artist in Residence
Artist in Residence

2022 BAGGAT ART EXHIBITION − A SILENT RIVER −

 

原始感覚美術祭とBaggat Art (韓国)との交換プログラムによって、

韓国楊平郡ヤンガン島公園にて行われたBAGGAT ART EXHIBITIONに参加する。

幼少期を過ごした韓国で表現活動を行うことは、静かに願っていた行為で、感慨深いものがあった。

おぼろげに覚えている拙い韓国語を喋りながら、参加作家や公園を散歩している地元民と交流を行う。

野外美術展開催初日に、作家による解説ツアーがあり、その中で1本の木に祈りを捧げるパフォーマンスを行う。

終了後に祈りの感覚が日本と韓国では違うかもしれない、という声を頂き、自分の中では木に祈りを捧げる行為はとても自然な感覚から湧き出るものだったが、日本の神道や古くからの民俗信仰にも深く根付いているアミニズム的な感覚特有のものなのかもしれないと気付かされた。

 

信濃の国原始感覚美術祭2022 水のことぶれ

「はじまりのむろ」 黒田将行 × 佐々きみ菜 × スギサキハルナ

 

「産屋を作りたい」「森の中で絵を描きたい」という話から

黒田将行、佐々きみ菜、スギサキハルナの3名で森の中で滞在制作を行う。

川の近くに拠点となるテントを建て、生活と制作が地続きな日々を過ごす。

川の水でご飯を作り、洗濯をし、風呂の湯を沸かす。

土・川・木々に人の手を入れ、石を動かし、水の滞りをなくし、森に光を入れる。

火を絶やさず、天候に左右されながら、身近に動植物の気配を感じながら、制作と生活を行う。

下見の際、この場所に出会って、手ですくった川の水を飲んで「ここに住もう」という言葉が溢れた。

そして「はじまりのむろ」ができた。

今後この場所で「むろ」をいくつも作り、複数形の「むろら」になることで、

いつか「むら」になることを目指す。

原始感覚美術祭の千年の森祭りにてパフォーマンスを行う

水が滴る岩壁とスギサキハルナが格闘しながら描いた「山の子供たち」

日々の生活から生まれる身体の動き、平らではない場所でまっすぐに立とうとする力。

現代の生活では失われてしまった本来あるべき人の姿が滞在制作の中で発露してゆく。

千年の森祭りにおけるパフォーマンスで私はテーマを「出産」とし、この場所で生活するために培われた身体の動きが多く現れた。

黒田将行、スギサキハルナも同時にそれぞれが即興表現を行い、川を含む立体的な空間を表現者だけでなく観客も自由に動き鑑賞する。

そこにいる誰もが無意識のうちにまっすぐ立とうとする力を体感し、五感を研ぎ澄ませながら、それぞれの場所で見たいものを追いかける鑑賞方法となった。

 

 

原始感覚美術祭2021 水のたまゆら

信濃公堂でのパフォーマンスの様子

水鎮めの儀の様子

本祭にて永井 朋生氏(パーカッショニスト)

実験躰ムダイ(舞踏)×鈴木彩花(ボディペイント)とコラボ [6:05~]

 

原始感覚美術祭2021 水のたまゆら

5年目の参加となる本芸術祭では、初めて本祭のメイン会場である信濃公堂にてパフォーマンスを行った。コラボした永井氏は自作した楽器や世界各地で出会った素材から音を見つけて、ソロパフォーマンスや楽曲提供などを行っており、2018年に原始感覚美術祭にて同じくパーカッショニストのファブリス・ボニー氏とセッションした公演は素晴らしいものだった。

絵描きの鈴木彩花さんによってボディペイントされた実験躰ムダイさんは赤子と踊ることを実験されているようだった。

原始感覚美術祭の特徴とも言えるが、「その時その場で何が起きるか分からない」という状態でいることを大切にしているため、最低限のリハーサルしか行われなかった。尊敬する永井氏とのコラボへの緊張と、初対面のムダイさんと、公演中どう反応するかわからない赤子がいるという状況に、細い糸をピンと張ったようなとても研ぎ澄まされた感覚になった。

また、このお祭りが来年も無事に執り行われてほしいという想いを強く感じたことから、火おこしで生まれた火を湖に返したいと原始感覚美術祭の運営メンバーに伝え相談したところ、本祭が全て終わった後に「水鎮めの儀」を行うことになった。

蓮の葉の上で小さな火が波に揺られながらちらちらと動いている。

それまでの祭の盛り上がりとはうって変わって、祭のあとの美しい静けさをみんなで見つめ、代え難い時間を過ごした。

原始感覚美術祭2020 山の清め、水の面

 

 

音楽家 あんどさきことのコラボパフォーマンス

撮影:安徳 希仁

原始感覚美術祭2020 山の清め、水の面

新型コロナウイルスの影響を受けて、各地の伝統的なお祭りや芸術祭が中止となる中、疫病退散をテーマに小規模で開催された。それぞれの作家の作品を飾りつけた山車を引き、木崎湖を1周した。

早朝の木崎湖は靄がかって幻想的な雰囲気を帯び、音楽家のあんどさきことコラボパフォーマンスをした場所には蓮の花が咲き誇っていた。

下見をした際には咲いておらず、偶然パフォーマンスを行った時間帯が開花時間だったと思われる。

様々な変化に迫られた社会とは別の次元に存在するかのように、いつも通り美しい湖と何も変わらず生きる植物の場をお借りして、

あんどさきこはピアノを弾くようなしぐさで空気や水に触れる。船を揺らす波の音と波紋が優しい声とともに静かに広がる。

赤く染色した漁網のコスチュームを羽衣のようにまとい、湖と一体化するような時間となった。

原始感覚美術祭2019 水のうぶすな

木崎湖畔にて滞在制作

湖が目の前にあるネムノキをお借りする

製作中の様子

木崎湖POWWOWキャンプ場で行われたイベントにてパフォーマンスを行う

 

原始感覚美術祭2019 水のうぶすな

原始感覚美術祭には3回目の参加となる2019年は、前年の反省を活かして大町にてしっかりと滞在制作を行い、素材の選定も環境に対して違和感が強くないものにした。

木崎湖畔で制作するにあたって、地元の方から了承をいただき、ネムノキをお借りして1週間木の上で繊維を織ったり結んだりしてコスチューム制作を行った。

木の上で長時間過ごした経験がなかったため、制作中の意識が普段と異なり刺激的な体験となった。

木の幹をアリが忙しそうに歩き回り、時々自分の身体の上も通っていく。風に揺れる葉っぱの音や湖の水際の音、その環境で生きている虫の声が常に聞こえていて、木の上に立っている自分の体幹を常に感じている。木漏れ日の光や湖水に反射して輝く光も、絶えずきらきらと降り注いでいる。草の匂いが心地よく、いつもより深呼吸で手を動かし続ける。

このように五感に刺激される制作環境は初めてで、心地よい環境で制作することは今後の自分にとって重要なのではないかと思うようになった。

原始感覚美術祭2018 水のハレとケ

原始感覚美術祭2018 水のハレとケ

原始感覚美術祭に参加して2年目の年。2018年は諸事情により細切れでの滞在となったため、現地での制作はせずに「うまれの祈り」シリーズのコスチュームをもってパフォーマンスでの参加がメインとなった。

前年に原始感覚美術祭に参加したことによって新たに展開が広がった作品と共に大町に帰ってくることが、個人的ではあるが意味があったのだと思われる。

モールという素材に骨や肉という身体性を見出して制作した作品だったのだが、実際に着用して見るととても人工的な素材のため、自然の力が強い大町ではやや違和感を感じる結果となった。

また、様々な参加者の表現に触れることで、身体表現や即興表現に関しても思考を深めていくこととなる。

原始感覚美術祭2017 みのくちまつり

原始感覚美術祭2017−みのくちまつり

2014年に観客として訪れた原始感覚美術祭に、公募の若手枠で初めて参加する。長野県信濃大町の木崎湖畔に国内外よりアーティストが集い、滞在制作を行う。2017年より長期的な作品展示のスタイルから、3日間のお祭りスタイルに変化した。

西丸震哉記念館に滞在し、自転車で木崎湖を1周して海ノ口上諏訪神社の御神木であるスギの葉を毎日拾わせていただく。

線香の原材料にもなるスギの葉に透明度の高い赤い塗膜をつけ、炎を使ったパフォーマンスを行う。自分自身の身体を用いて表現を行う活動はここから始まった。

また、これより以前は繊維素材を購入し制作を行うばかりだったが、自然素材を収集し加工を行うことも初めてだった。

また、本芸術祭の企画であったピナ・バウシュバレエ団でソロダンサーを務めていたジャン・サスポータス氏の身体表現ワークショップを受講し、自分自身の身体を再発見・認識し、衝撃を受ける。

これらの出来事から〈素材研究〉〈インスタレーション〉〈コスチューム〉〈身体表現〉の領域を横断した作家活動を行うようになる。