WORKS : material research / fiber art / textile art / costume / performance
Artist in Residence
Artist in Residence

原始感覚美術祭2019 水のうぶすな

木崎湖畔にて滞在制作

湖が目の前にあるネムノキをお借りする

製作中の様子

木崎湖POWWOWキャンプ場で行われたイベントにてパフォーマンスを行う

 

原始感覚美術祭2019 水のうぶすな

原始感覚美術祭には3回目の参加となる2019年は、前年の反省を活かして大町にてしっかりと滞在制作を行い、素材の選定も環境に対して違和感が強くないものにした。

木崎湖畔で制作するにあたって、地元の方から了承をいただき、ネムノキをお借りして1週間木の上で繊維を織ったり結んだりしてコスチューム制作を行った。

木の上で長時間過ごした経験がなかったため、制作中の意識が普段と異なり刺激的な体験となった。

木の幹をアリが忙しそうに歩き回り、時々自分の身体の上も通っていく。風に揺れる葉っぱの音や湖の水際の音、その環境で生きている虫の声が常に聞こえていて、木の上に立っている自分の体幹を常に感じている。木漏れ日の光や湖水に反射して輝く光も、絶えずきらきらと降り注いでいる。草の匂いが心地よく、いつもより深呼吸で手を動かし続ける。

このように五感に刺激される制作環境は初めてで、心地よい環境で制作することは今後の自分にとって重要なのではないかと思うようになった。

原始感覚美術祭2018 水のハレとケ

原始感覚美術祭2018 水のハレとケ

原始感覚美術祭に参加して2年目の年。2018年は諸事情により細切れでの滞在となったため、現地での制作はせずに「うまれの祈り」シリーズのコスチュームをもってパフォーマンスでの参加がメインとなった。

前年に原始感覚美術祭に参加したことによって新たに展開が広がった作品と共に大町に帰ってくることが、個人的ではあるが意味があったのだと思われる。

モールという素材に骨や肉という身体性を見出して制作した作品だったのだが、実際に着用して見るととても人工的な素材のため、自然の力が強い大町ではやや違和感を感じる結果となった。

また、様々な参加者の表現に触れることで、身体表現や即興表現に関しても思考を深めていくこととなる。

原始感覚美術祭2017 みのくちまつり

原始感覚美術祭2017−みのくちまつり

2014年に観客として訪れた原始感覚美術祭に、公募の若手枠で初めて参加する。長野県信濃大町の木崎湖畔に国内外よりアーティストが集い、滞在制作を行う。2017年より長期的な作品展示のスタイルから、3日間のお祭りスタイルに変化した。

西丸震哉記念館に滞在し、自転車で木崎湖を1周して海ノ口上諏訪神社の御神木であるスギの葉を毎日拾わせていただく。

線香の原材料にもなるスギの葉に透明度の高い赤い塗膜をつけ、炎を使ったパフォーマンスを行う。自分自身の身体を用いて表現を行う活動はここから始まった。

また、これより以前は繊維素材を購入し制作を行うばかりだったが、自然素材を収集し加工を行うことも初めてだった。

また、本芸術祭の企画であったピナ・バウシュバレエ団でソロダンサーを務めていたジャン・サスポータス氏の身体表現ワークショップを受講し、自分自身の身体を再発見・認識し、衝撃を受ける。

これらの出来事から〈素材研究〉〈インスタレーション〉〈コスチューム〉〈身体表現〉の領域を横断した作家活動を行うようになる。

原始感覚美術祭2020 山の清め、水の面

 

 

音楽家 あんどさきことのコラボパフォーマンス

撮影:安徳 希仁

原始感覚美術祭2020 山の清め、水の面

新型コロナウイルスの影響を受けて、各地の伝統的なお祭りや芸術祭が中止となる中、疫病退散をテーマに小規模で開催された。それぞれの作家の作品を飾りつけた山車を引き、木崎湖を1周した。

早朝の木崎湖は靄がかって幻想的な雰囲気を帯び、音楽家のあんどさきことコラボパフォーマンスをした場所には蓮の花が咲き誇っていた。

下見をした際には咲いておらず、偶然パフォーマンスを行った時間帯が開花時間だったと思われる。

様々な変化に迫られた社会とは別の次元に存在するかのように、いつも通り美しい湖と何も変わらず生きる植物の場をお借りして、

あんどさきこはピアノを弾くようなしぐさで空気や水に触れる。船を揺らす波の音と波紋が優しい声とともに静かに広がる。

赤く染色した漁網のコスチュームを羽衣のようにまとい、湖と一体化するような時間となった。